歯のホワイトニングの安全性について
歯のホワイトニングにご関心をお寄せいただきありがとうございます。当院では、患者様の安全を最優先に考え、確立された方法でホワイトニング治療をご提供しています。このページでは、ホワイトニングの安全性に関する情報や、当院で使用する薬剤についてご説明します。
「歯に悪いのでは?」というご不安を解消し、安心して治療をお受けいただけるよう、正確でわかりやすい情報提供に努めます。
ホワイトニングの安全性
歯のホワイトニングは、歯科医師の適切な診断と管理のもとで行えば、安全な治療法です。主なホワイトニング剤の成分である過酸化水素や過酸化尿素は、歯の着色物質を化学的に分解し、歯を白くします。
※過酸化尿素: 口腔内で徐々に過酸化水素に分解され、穏やかに歯を白くする化学物質。
歯科医院でのホワイトニングが安全とされる理由は、専門家が患者様のお口の状態を正確に診断し、厚生労働省の基準を満たした薬剤の濃度や使用法を厳格に管理するからです。アメリカ歯科医師会(ADA)などの主要な歯科専門機関も、歯科医師の指導・管理のもとで行われるホワイトニングの安全性と有効性を認めています。
多くの研究により、適切に行われたホワイトニングは歯のエナメル質や歯髄(歯の神経)に永続的な悪影響を与えないことが示されています。ホワイトニング剤によってエナメル質表面にごく微細な変化が生じることもありますが、これらは唾液の作用による再石灰化によって修復される可逆的な変化であることが多いと報告されています。知覚過敏(歯がしみる症状)が一時的に現れることもありますが、これは予測可能な反応であり、通常は治療の中断や適切な処置で改善します。
※歯髄(しずい): 歯の内部にある神経や血管が含まれる組織。一般に「歯の神経」と呼ばれます。
※再石灰化(さいせっかいか): 唾液中のカルシウムやリン酸が歯の表面に戻り、初期の虫歯や脱灰した部分を修復する自然な作用。
※知覚過敏(ちかくかびん): 冷たいものや歯ブラシの接触などで歯が一時的にしみる症状。
当院のホワイトニング治療法
市場には様々なホワイトニングシステムが存在し、それぞれ特徴があります。(例:松風ハイライト、GC ティオン、フィリップス Zoomなど)。これらの製品は、歯科医師の診断のもと、適切に使用されることで効果を発揮します。
その中でも、くみ歯科クリニックでは患者様の安全性と効果を総合的に考慮し、主に世界的に豊富な臨床実績を持つ「オパールエッセンス」(ウルトラデント社製)シリーズのホワイトニング剤を選択しています。
オフィスホワイトニング
歯科医院で専門家(歯科医師・歯科衛生士)が行う方法です。比較的濃度の高い薬剤を使用しますが、歯肉を専用の材料でしっかり保護するなど、安全に最大限配慮して行います。
- 口腔内検査とクリーニング後、歯肉を保護します。
- オパールエッセンス等の高濃度ジェルを歯に塗布します。
- (製品により)効果を高めるために光を照射する場合もあります。
- 術後のケア方法や注意点を丁寧にご説明します。
ホームホワイトニング
ご自宅で患者様ご自身に行っていただく方法です。歯科医師が精密に作製した患者様専用のマウストレー(カスタムトレー)と、低濃度で安全性の高いオパールエッセンスのホーム用ジェルを使用します。
- 患者様専用の精密なマウストレーを作製します。これにより薬剤が均一に歯に作用し、歯肉への漏れを防ぎます。
- オパールエッセンスPF(硝酸カリウム・フッ化物配合)など、安全な濃度のジェルを使用します。
- 正しい使用方法(塗布量、装着時間など)を丁寧に指導します。
当院使用の「オパールエッセンス」の特徴と安全性
オパールエッセンスは、長年の臨床実績と多くの研究に裏打ちされた信頼性の高いホワイトニングシステムです。
- PF処方(硝酸カリウムとフッ化物配合):ホームホワイトニング用の多くの製品には、「PF処方」が採用されています。これは、知覚過敏を軽減する効果のある硝酸カリウムと、エナメル質の再石灰化を助け歯質を強化するフッ化物を配合したものです。これにより、ホワイトニング中に起こりやすい知覚過敏のリスクを低減し、歯への優しさに配慮しています。
- 適切なpHバランス:製品は、歯のエナメル質へのダメージを最小限に抑えるため、pHが中性域に調整されています。これにより、歯の表面が溶け出す「脱灰」のリスクを低減し、安全性を高めています。一般的にpHが5.5以下になるとエナメル質の脱灰リスクが高まるとされていますが、その点を考慮して設計されています。
- 粘性と薬剤放出のコントロール:ジェルは歯面に密着しやすく、唾液で流れにくい適度な粘性を持っています。これにより、薬剤が効果的に歯に作用し、また、過酸化尿素ベースの製品は徐々に有効成分(過酸化水素)を放出するため、持続的かつ穏やかに作用します。
- 歯科医師による管理と実績:オパールエッセンスは歯科医療用の製品であり、歯科医師による正確な診断、適切な使用指導のもとでその安全性と効果が最大限に発揮されます。例えば、アメリカ歯科医師会(ADA)は、歯科医師の指導下で行う10%過酸化尿素を用いたカスタムトレーによるホームホワイトニングの安全性と有効性を認めており、この基準に合致する製品も含まれています。
※硝酸カリウム: 知覚過敏の症状を緩和する成分として歯磨き粉などにも利用されます。
※フッ化物: 歯の再石灰化を促進し、エナメル質を強化して虫歯になりにくくする成分。
※脱灰(だっかい): 歯の表面からカルシウムやリンなどのミネラル成分が溶け出すこと。虫歯の初期段階でも見られます。
当院では、厚生労働省の安全基準を遵守したオパールエッセンス製品のみを使用し、患者様一人ひとりの口腔状態やライフスタイルに合わせた最適な濃度と使用方法をご提案することで、安全で快適なホワイトニング治療を目指しています。
ご質問と注意点
A. 「歯がしみたりしませんか?」 (知覚過敏について)
ホワイトニング剤の作用で一時的に歯がしみることがあります。これは多くの場合軽度で一過性のものです。特にオパールエッセンスのPF処方(硝酸カリウム・フッ化物配合)は、この知覚過敏を軽減する助けとなります。当院では、事前の診査や薬剤濃度の調整、必要に応じて知覚過敏抑制材の使用などで最大限配慮します。
B. 「どのくらいの頻度でホワイトニングをしても安全ですか?」
初回の治療計画は歯科医師が患者様の状態に合わせて立案します。その後のメンテナンス(タッチアップ)は、通常3ヶ月~1年程度の間隔が推奨されますが、効果の持続には個人差があります。過度な頻度での使用は避け、必ず歯科医師の指示に従ってください。
C. 「年齢や性別によって、ホワイトニングの安全性に違いはありますか?」
性別によるホワイトニングの安全性に大きな違いは報告されていません。年齢に関しては、乳歯や永久歯が完全に生えそろっていない未成年者へのホワイトニングは、歯の成熟度を考慮し慎重な判断が必要です。高齢者の方も安全にホワイトニングを行えますが、効果の現れ方には個人差があり、既存の修復物との色の調和なども考慮し、事前の十分なカウンセリングが重要です。
ホワイトニングを避けるべき主なケース
- 無カタラーゼ症の方(過酸化水素を分解できないため絶対禁忌)。
- 妊娠中・授乳中の方(胎児や乳児への安全性が確立されていないため延期を推奨)。
- 重度の歯周病や未治療の大きな虫歯がある方(まずはそちらの治療を優先)。
- ホワイトニング剤の成分(過酸化物など)にアレルギーがある方。
また、前歯部に多くの詰め物や被せ物などの修復治療がされている場合、それらの人工物はホワイトニングで白くなりません。そのため、天然歯が白くなることで色の差が生じ、目立ってしまう可能性があります。この場合は、ホワイトニング後に修復物の再治療が必要になることもありますので、事前に歯科医師とよく相談することが大切です。
歯科医師の役割とアフターケア
安全で効果的なホワイトニングのためには、歯科医師による専門的な診査・診断、個別化された治療計画、適切な薬剤選択(オパールエッセンス等)と使用指導、そして万が一の副作用への対応が不可欠です。自己判断でのホワイトニングはリスクを伴うためお控えください。
ホワイトニング後は、着色しやすい飲食物を一時的に控え、丁寧な歯磨きを心がけることが白さの維持につながります。定期的な歯科医院でのクリーニングや検診も重要です。ご不明な点は、いつでもくみ歯科クリニックにご相談ください。