子供の虫歯は「食生活」がカギ!おやつの選び方とタイミング完全ガイド|くみ歯科クリニック

子供の虫歯は「食生活」がカギ!

おやつの選び方とタイミング完全ガイド

「仕上げ磨きを頑張っているのに、どうして虫歯になっちゃうの?」「おやつって、何をいつあげたらいいの…?」

こんにちは、くみ歯科クリニックです。当院の院長も二人の子供を育てる母親です。だからこそ、日々の診療で伺うお母様方のそんな切実な声に、私たちはいつも深く共感しています。もちろん歯磨きは大切です。でも実は、それ以上に大切なのが毎日の「食生活」。特にお子様の楽しみである「おやつ」が、虫歯リスクを左右する大きなカギを握っているのです。

歯を大切にする親子のイラスト

数字で見る!虫歯ができる本当の理由

お口の中では、食事のたびにミクロの攻防が繰り広げられています。お口の中の虫歯菌が糖分をエサに「酸」を作り出すと、歯の表面からミネラルが溶け出します。これが「脱灰」です。通常pH7.0(中性)のお口が、糖分摂取後わずか数分で酸性に傾き、歯が溶け始める危険ラインであるpH5.5を下回ると、この脱灰が始まります。

ことばの解説【虫歯菌】
正式には「ミュータンス菌」などが代表的です。お口の中に普段からいる菌で、糖分を栄養にしてネバネバしたすみか(歯垢)を作り、そこで酸を出して歯を溶かします。

幸い、私たちの体には「唾液」という強い味方がいます。唾液は酸を中和し、溶け出したミネラルを歯に再供給して修復します。これが「再石灰化」です。このバランスが崩れ、脱灰の時間が長くなると、虫歯になってしまうのです。

ことばの解説
【脱灰(だっかい)】: 歯の表面(エナメル質)から、酸によってカルシウムやリンが溶け出すこと。歯がモロくなる、虫歯の始まりの状態です。
【再石灰化(さいせっかいか)】: 唾液の力で、溶け出したカルシウムやリンが再び歯に取り込まれ、初期の虫歯を修復してくれる体の防御機能です。
【pH(ピーエイチ)】: 酸性・アルカリ性の度合いを示すものさしです。お口の中が酸性(pH5.5以下)になると歯が溶けやすくなります。

おやつを食べる

お口のpHが5.5以下の酸性に

脱灰が始まる

歯が溶け続ける (約20~40分)

再石灰化で修復

唾液がpHを中性に戻し歯を守る

一番の敵は「ダラダラ食べ」

重要なのは、お口の中が酸性になっている「時間」です。アメをずっとなめたり、ジュースをちびちび飲んだりすると、唾液の修復タイムがなくなり、歯が溶け続けてしまいます。例えば、キャンディー1個を5回に分けて食べると、お口の中は合計100分以上も酸性状態に。食べる「量」よりも、食べる「回数」と「時間」が虫歯リスクを増大させるのです。

虫歯になりにくいおやつの選び方

お子様のおやつは、1日の栄養摂取量の10〜20%が目安です。3度の食事で足りない栄養を補う「第4の食事」として、賢く選びましょう。

虫歯リスク 具体的なおやつリスト
低い
(おすすめ)
おにぎり、ふかし芋、チーズ、無糖ヨーグルト、季節の果物(りんご・梨など)、野菜スティック、砂糖のついていないおせんべい、小魚
中くらい
(時々なら)
クッキー、ビスケット、ケーキ、アイスクリーム、果汁100%ジュース、乳酸菌飲料
高い
(要注意!)
アメ、キャラメル、グミ、チョコレート、スナック菓子、ウエハース、炭酸飲料、スポーツドリンク
ことばの解説
【粘着性(ねんちゃくせい)】: 歯にくっつきやすい性質のこと。キャラメルやグミのように粘着性が高いおやつは、糖分がお口の中に長く留まるため、虫歯リスクが非常に高くなります。
【でんぷん】: ご飯やパン、ポテトチップスなどに含まれる成分。お口の中でだ液によって糖に分解されるため、甘くないスナック菓子でも虫歯の原因になります。

おやつの黄金ルール

何を食べるかと同じくらい、「いつ」「どうやって」食べるかが大切です。4つのルールで、おやつタイムを歯に優しい習慣に変えましょう。

時間を決める

食事との間隔を2〜3時間あけ、午前10時や午後3時など、毎日決まった時間にしましょう。

回数を守る

1日1〜2回まで。3歳未満は2回、3歳以上は1回が目安です。だらだら食べを防ぎましょう。

場所を決めて集中

遊びながらの「ながら食べ」はNG。15分以内に食べ終えることを目標に、食卓で集中させましょう。

飲み物は水かお茶

ジュース(240mlで糖分約21g)やイオン飲料は糖分たっぷり。普段の水分補給は水か麦茶が基本です。

年齢別で見る!虫歯予防のポイント

お子様の成長段階に合わせて、特に気をつけたいポイントがあります。

0〜3歳:乳歯が生えそろう大切な時期

  • 1歳半までに哺乳瓶を卒業させましょう。ジュースなどを哺乳瓶で与え続けると「哺乳瓶う蝕」の原因になります。
  • 歯が生え始めたら、フッ素濃度1000ppmの歯磨き粉を米粒大(1〜2mm)使い、1日2回歯磨きを。
  • 3歳までは、歯磨き粉をグリーンピース大(5mm)に増やし、お母様がしっかり仕上げ磨きをしてあげてください。

3〜6歳:自分でやりたがる時期

  • 自分で磨きたがる気持ちを尊重しつつ、必ず親が仕上げ磨きを。特に奥歯の溝や歯と歯の間は念入りに。
  • 奥歯の溝をプラスチックで埋めて虫歯を予防する「シーラント」も効果的です。お気軽にご相談ください。
  • おやつの回数は1日1回を目安に、生活リズムを整えましょう。

6〜12歳:大人の歯が生え始める最重要期

  • 6歳臼歯は永久歯の王様。一番大きく噛む力も強いですが、溝が深く最も虫歯になりやすい歯です。
  • 6歳臼歯のシーラントは、虫歯を約80%も予防できるというデータがあります。生えたての時期が最も効果的です。
  • 6歳からはフッ素濃度1500ppmの歯磨き粉を歯ブラシ全体(1.5〜2cm)につけて磨きましょう。

12歳以上:自己管理を育てる時期

  • 部活動などでスポーツドリンクを飲む機会が増えます。激しい運動後のみにし、飲んだ後は必ず水でうがいする習慣を。
  • 炭酸飲料やエナジードリンクの糖分量や酸の危険性を教え、自己管理能力を育てていきましょう。
  • 矯正治療中は特に汚れがたまりやすいため、通常より丁寧なケアが必要です。
ことばの解説
【哺乳瓶う蝕(ほにゅうびんうしょく)】: 哺乳瓶でジュースやミルクなどを飲みながら寝てしまう習慣で起こる、上の前歯に集中してできる悲しい虫歯です。
【シーラント】: 奥歯の複雑な溝を、虫歯になる前にフッ素入りのプラスチックで埋めてしまう、効果的な虫歯予防法です。
【6歳臼歯(ろくさいきゅうし)】: 6歳頃に生えてくる最初の永久歯。生涯使う大切な歯ですが、一番奥にあって磨きにくく、溝も深いため最も虫歯になりやすい歯です。
【フッ素濃度 (ppm)】: 歯磨き粉に含まれるフッ素の濃度の単位。「1000ppm」は、1kgの中に1gのフッ素が含まれていることを示します。

お母さんのよくある質問 Q&A

Q1. 仕上げ磨きは、いつまで必要ですか?

A. お子様が自分の手で鉛筆を上手に使えるようになるのと、歯ブラシを上手に使えるようになるのは、ほぼ同じ時期と言われます。個人差はありますが、少なくとも小学校中学年(9〜10歳頃)までは、親御さんが最終チェックと仕上げをしてあげるのが理想です。特に生えたての大人の歯はまだ弱く、虫歯になりやすいので、しっかりサポートしてあげましょう。

Q2. 夜泣きの時、ミルクやジュースをあげてもいい?

A. お水だけにしてください。就寝中は唾液の分泌量が日中の約1/10に激減するため、お口の自浄作用がほとんど働きません。その状態で糖分が入ると、歯が長時間酸にさらされ、前歯が広範囲に溶ける「哺乳瓶う蝕」の深刻な原因となります。

Q3. キシリトールは本当に効果がありますか?

A. はい、多数の臨床試験で30〜80%の虫歯予防効果が証明されています。キシリトールは虫歯菌が酸を作れない糖で、菌の活動自体を弱めます。効果的な使い方は、①キシリトール含有率50%以上(理想は100%)のものを選ぶ ②1日5〜10gを3回以上に分けて摂る ③3ヶ月以上続ける、の3点です。歯磨きの代わりにはなりませんが、食後の新習慣としておすすめです。

Q4. どのくらいの頻度で歯医者に通えばいいですか?

A. 特に問題がなくても、3ヶ月〜6ヶ月に1回の定期検診をおすすめします。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、定期的な歯科健診によるプロのチェックとクリーニングが、虫歯や歯周病の予防に不可欠であるとされています。虫歯の早期発見はもちろん、お子様一人ひとりに合った歯磨き指導や食生活のアドバイスをさせていただきます。

Q5. 虫歯になりやすい「体質」はありますか?

A. はい、唾液の量や質、歯の硬さなど個人差はあります。しかし、「体質だから仕方ない」と諦める必要は全くありません。体質的リスクがあったとしても、正しい食生活とフッ素の活用、定期的な検診で虫歯は十分に予防できます。当院では唾液検査でお子様個々のリスクを調べることも可能です。

Q6. フッ素は子供の体に安全ですか?

A. はい、歯科医院や歯磨き粉で使われるフッ素は、適切な量と方法で使えば安全性は確立されています。フッ素には、①歯の質を強くする ②再石灰化を助ける ③虫歯菌の働きを弱める、という3つの力があり、虫歯予防に非常に有効です。年齢に合ったフッ素濃度の歯磨き粉を、適切な量で使うことが大切です。

Q7. スポーツドリンクは体に良いイメージですが?

A. 注意が必要です。スポーツドリンクは、吸収を早めるために多くの糖分を含み、さらにpHも3.6〜4.6と非常に強い酸性です。これは歯が溶け始めるpH5.5を大きく下回ります。虫歯と酸蝕症(歯が酸で溶ける病気)のダブルパンチになるため、激しい運動後や脱水時など、本当に必要な時だけにし、普段の水分補給は水やお茶にしましょう。

Q8. 100%果汁ジュースなら安心ですか?

A. いいえ、安心ではありません。100%果汁ジュースは240mlあたり約21gもの糖分を含み、これは炭酸飲料とほぼ同じです。さらに果物由来の酸も含まれるため、虫歯リスクは高いです。与えるなら食事と一緒にコップ1杯までとし、哺乳瓶やマグでちびちび飲ませるのは絶対にやめましょう。

Q9. チョコレートは絶対にダメですか?

A. 絶対にダメというわけではありません。実は、歯に長時間残りやすいポテトチップスなどのスナック菓子の方がリスクが高い場合もあります。もし与えるなら、①おやつの時間に一度に食べ切る食べた後は水でうがいをする ③カカオ含有量が多く糖分が少ないダークチョコレートを選ぶ、などの工夫をしましょう。「ながら食べ」は厳禁です。

Q10. 甘くないおせんべいなら虫歯になりませんか?

A. 油断は禁物です。おせんべいやクラッカー、ポテトチップスなどに含まれる「でんぷん」は、唾液のアミラーゼという酵素で糖に分解されます。そのため、甘くなくてもお口の中で糖が作られ、歯に残りやすいものは虫歯の原因になります。

Q11. 果物は虫歯になりますか?

A. 食べ方によります。りんごや梨のようにシャキシャキした果物は、噛むことで唾液も出て歯の表面もきれいになるのでおすすめです。一方、バナナのように柔らかいものや、糖分が凝縮されたドライフルーツ、食物繊維が除かれた100%ジュースは注意が必要です。いずれも時間を決めて適量を与え、だらだら食べさせないことが大切です。

Q12. 親の虫歯菌は子供にうつりますか?

A. はい、うつります。生まれたばかりの赤ちゃんのお口には虫歯菌はいません。スプーンの共有やキスなどを通して、周りの大人の唾液から感染します。特に、生後6ヶ月〜2歳半頃が最も感染しやすい「感染の窓」と呼ばれる時期です。この時期に、大人がお口のケアをしっかり行うことが、お子様の将来の虫歯リスクを減らすことに繋がります。

Q13. 乳歯はどうせ抜けるから虫歯でも平気?

A. それは大きな間違いです。乳歯の虫歯を放置すると、①痛くて食事がとれず成長に影響する ②下にいる永久歯の卵の発育を阻害し、歯並びを悪くする ③お口の中の虫歯菌が増え、後から生える永久歯も虫歯になりやすくなる、など多くの悪影響があります。乳歯の健康が、永久歯の健康の土台になります。

Q14. おやつを食べた後、すぐ歯磨きした方がいい?

A. 基本的には食後の歯磨きが理想です。しかし、炭酸飲料や柑橘類など「酸」の強いものを摂った直後は、歯の表面が少し柔らかくなっているため、すぐにゴシゴシ磨くと歯を傷つける可能性があります。その場合は、まず水でよくうがいをし、30分ほど経ってから優しく磨くのがおすすめです。

Q15. 外出先で歯磨きができない時はどうすれば?

A. まずは水やお茶でしっかりうがいをして、食べかすや糖を洗い流すだけでも効果があります。可能であれば、キシリトール100%のタブレットやガムを食べさせるのも良い方法です。キシリトールには唾液を出す効果もあり、お口の中を中性に戻す手助けをしてくれます。

Q16. 朝食を抜くと虫歯になりやすいのは本当?

A. はい。朝食を抜くと、お昼まで何も食べないため唾液の分泌が少なくなり、お口の自浄作用が働きにくくなります。また、空腹のあまりお昼ご飯を早食いしたり、間食が増えたりと、食生活のリズムが乱れることも虫歯リスクを高める原因になります。

Q17. 生活リズムの乱れも虫歯に関係ありますか?

A. はい、関係があります。ある研究では、就寝時刻や夕食の時刻が遅い「夜型生活」の子供ほど虫歯が多い傾向が報告されています。これは、夜遅い食事は唾液の少ない就寝中に食べかすがお口に残りやすいことや、生活リズムの乱れが唾液の分泌量自体に影響を与えることなどが原因と考えられます。

Q18. 学校から帰ってすぐおやつを欲しがりますが?

A. はい、午後3時頃は、おやつに最適な時間です。夕食に影響しないよう、エネルギー補給になるおにぎりやチーズ、果物などを適量与えるのが良いでしょう。この時間なら、夕食までにお口の中が中性に戻る時間も十分にあります。

Q19. 外出時におすすめのおやつはありますか?

A. 持ち運びやすく、汚れにくいものが良いですね。小さく握ったおにぎり、個包装のチーズ、砂糖のついていないおせんべいなどがおすすめです。甘いお菓子やジュースの代わりに、水筒に入れた水やお茶を持っていく習慣をつけましょう。

Q20. 歯医者さんデビューは、いつ頃が良いですか?

A. 最初の歯が生え始めたタイミング(生後6ヶ月〜1歳頃)での受診をおすすめします。「痛くなってから行く」のではなく、「虫歯にしないために行く」のが理想です。小さいうちから慣れておくことで、歯医者さんへの恐怖心をなくし、定期的なフッ素塗布や検診をスムーズに受けることができます。

お子様の歯のこと、一人で悩まないで

この記事を読んでも、「うちの子の場合はどうなんだろう?」と不安に思うこともあるかもしれません。食生活のことはもちろん、仕上げ磨きのコツやフッ素のことなど、どんな些細なことでも構いません。

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